国内水道事業の課題

国内の水道事業は、水道普及率が97%を超え、「普及・拡大の時代」は終焉を迎え、既に「維持・更新の時代」を迎えています。
水道事業は、原則として独立採算で運営されており、健全かつ安定した事業運営には、適正な水道料金収入を確保することが必要となります。しかしながら、数多くの自治体では、その料金収入が不足し、老朽化した水道管や浄水場の更新、耐震化を進めることができない状況にあります。また、団塊の世代といわれた職員の方々が退職され、深刻な人員不足に加え、経験豊富な職員の空洞化に直面している状況です。厚生労働省や関係諸団体などにより挙げられているいくつかの深刻な課題を以下にご紹介します。

1. 熟練職員の技術の継承

全国の水道局職員の4割以上が50才以上である一方で、30才未満は1割未満の状況です※。高度経済成長期の施設整備や拡張を支えた熟練技術者が退職されていく中、彼らの知見や技能を引き継ぐ若手技術者が不足している状況です。

2. 老朽施設の更新需要増加

国内の水道施設の多くは1960年代から70年代の高度経済成長期に建設されたものです。これら水道施設の老朽化が進んでいる状況で、今後も老朽施設の更新需要は年々増加し、毎年ほぼ1兆円の更新需要が発生し続けると試算※されております。わが国の人口減少を勘案すると、一人当たりの更新費用の負担額は4,000円/年程度(2005年)のものが、10,000円/年を超過する(2040年)との試算※もあります。

3. 耐震化

生活に無くてはならないライフラインである水道。地震国である日本の私たちが心配するのは、地震への対策であろうと思います。東日本大震災以前にも、阪神・淡路大震災等、数々の地震災害の経験から、水道施設の耐震化が重要であることは認識されており、私たちも関心の高いところであると思います。
しかし、水道施設の耐震化の状況は、厚生労働省の発表によると、2011年度末時点において、河川などの水を飲めるように処理する“浄水施設の耐震化率”が19.7%、水道水を各家庭、各施設に配る水道管の内、病院に接続しているなど特に重要な“基幹管路の耐震化適合率”が32.6%、処理した水を貯える“配水池の耐震化率”が41.3%という状況です。全国の自治体の努力により、年々着実に改善しているものの、依然として地震に対する備えは十分とは言えない状況であり、耐震化の一層の推進は急務となっております。
※「水道を取り巻く状況及び水道の現状と将来の見通し」 水道ビジョンフォローアップ検討会 平成19年4月 厚生労働省健康局水道課

国の方針(PPP・PFI事業の推進)

水道事業のみならず、道路や空港等、国内のインフラは、施設の老朽化と更新需要の増加など同じ問題を抱えています。2013年6月14日に安倍政権が発表した成長戦略「日本再興戦略」に上下水道施設、道路、空港へのコンセッション方式の積極的導入が明記され、10年間で12兆円規模のPPP・PFI事業を実現するという目標が掲げられました。これは、老朽化が進む国内のインフラの運営と更新を税金だけではなく、民間資金と民間企業の経営ノウハウを活用しながら進め、財政抑制と経済再生の双方を実現しようというものです。これに先立つ6月6日、内閣府は公共施設等運営権制度(コンセッション方式)のガイドラインを策定、発表するなど、水道事業を始めとする国内インフラの運営・整備に民間企業の活用を進める動きが国を中心に活発となっております。

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