日本の公共事業における契約方式は、地方自治法第 234 条において「一般競争入札」「 指名競争入札」「 随意契約」「 せり売り」の 4 方法に限定しており、一般競争入札以外の方法が適用できる場合は、政令(地方自治法施行令第 167 条、第 167 条の 2)で定める条件に該当するときに限定されていました。

平成 11 年 2 月 17 日に地方自治法施行令が一部改正され、地方自治法第 167 条において、価格以外の要素も考慮して落札者を決定する「総合評価落札方式」が、一般競争入札及び指名競争入札に認められるようになりました。

更に、平成17年4月に施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号) 所謂、公共工事品確法」により、平成20年度から総合評価落札方式は本格導入されています。この他国土交通省では、公共工事の品質確保の観点から業務委託(調査・設計委託等)にプロポーザル方式やコンペ方式を採用しています。

 

上下水道事業の契約方式

上下水道事業の主な契約方式は、下図に示すような方法があり、入札契約方式と随意契約方式に大別されます。前者は価格競争入札方式と総合評価落札方式が、後者はプロポーザル方式とコンペ方式が含まれ、それぞれに数種類の方法があります。

 

1 :価格競争入札方式

積算基準が明瞭であり、仕様(業務実施手法や内容)が、予め具体的に特定され、誰が行っても結果の同一性が保証できる場合に適用します。

 

 

一般競争入札

不特定多数の参加者を誘引し、入札によって競争させ、最も有利な価格を提示した者と契約を締結する方式のことです。
誰でも参加できるという公平性と不特定多数での価格競争という経済性から公共団体等が実施する入札の基本原則とされています。
一方、価格だけで落札者を選定するため、信用・技術等の評価は一切できないことにもなります。
また、一般競争入札の場合は仕様発注が殆どのため、仕様書作成・入札手続き等、公共団体等の事務処理が煩雑化する傾向にあります。
現在の入札の殆どが一般競争入札ですが、参加者の信用・技術等をある程度担保するため、一定の条件を加味した「条件付き一般競争入札」となっているのが通常のようです。
条件付一般競争入札は指名競争入札と比べ、選定基準が明確になっているため、不正・談合等の懸念が少なくなります。

参照:厚生労働省「第三者委託実施の手引き(平成23年3月改訂)」

指名競争入札

技術、経験、実績等について信用力のある参加者を予め入札者として指名し、指名入札者間で価格競争させ、最も有利な価格を提示した者と契約を締結する方式のことです。
一般競争入札に比べ参加者が限定されているため、信用・技術などの面での安全性はある程度担保されますが、その分、競争による経済性の効果も減退すると考えられます。
一方、指名される参加者の選定条件が曖昧となっていることから、談合や不正の問題が懸念されています。
明治以来、指名競争入札は公共調達の基本とされてきており、指名競争入札それ自体は諸外国でも使われ、正しく使われれば効率的な方式といえますが、指名競争入札の根幹である「発注者は、公平で中立である」という前提が談合等の様々な問題から崩れかけており、現在は少額の入札や特定の業務に限定されて実施されています。

参照:厚生労働省「第三者委託実施の手引き(平成23年3月改訂)」

2 :総合評価落札方式

積算基準が明瞭であり、仕様は確定可能ではあるが、入札者の提示する技術等によって、価格の差異に比して、事業又は業務の成果に相当程度の差異が生ずることが期待できる場合に適用する方式のことです。
発注者は応募者に当該事業又は業務に対する方針やアイデア、実施手法等について技術提案書と価格を提出させ、技術提案書と価格を統合した総合指標を用いて評価を行い、最も評価点数の高い提案者と契約を締結します。
契約協議は行いますが、入札価格は原則として変更されません。

総合評価落札方式には、一般競争入札と指名競争入札があります。
また、一般競争入札には標準型と簡易型があります。
標準型は、業務の仕様の範囲内で品質向上手法の提示を求める評価テーマを示し、評価テーマに関する技術提案と当該業務の実施方針を求め、価格との総合評価を行うものです。
簡易型は、技術提案として当該業務の実施方針の提出を求め、価格との総合評価を行うものです。

 

総合評価落札方式のメリット・デメリット

メリット
⦁ 経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮して、価格及び品質が総合的に優れた者を落札者として選定できること。
⦁ 品質の低下、契約不履行等、価格競争入札の短所を補え、契約履行の確実性が増大すること。

デメリット
⦁ 技術提案書と価格を統合した総合指標を用いて評価を行うため、価格指数が高い場合は、価格競争入札方式と同じになるため、評価バランスに留意が必要なこと。
⦁ 客観的な評価基準の設定、公正な審査及び選定プロセスの透明性の確保に十分留意する必要があること。
⦁ 事務負担が大きく、選定に十分な期間が必要になること。

参照:国土交通省「公共工事における総合評価方式活用ガイドライン」

参照:厚生労働省「第三者委託実施の手引き(平成23年3月改訂)」

 

3 :プロポーザル方式

当該事業又は業務の内容に技術的工夫の余地が多いもの又は専門的な技術が要求されるものであって、積算基準が不明瞭で予め当該仕様を特定できないため、提出された技術提案に基づいて、業務を実施するほうが最も優れた成果が期待できる場合に適用する方式のことです。
発注者は参加者に当該事業又は業務に対する方針やアイデア、実施手法等についてプロポーザル(技術提案書)を提出させ、ヒアリングを実施した上で技術提案書の内容を審査し、選定者を特定します。
プロポーザル方式は、技術提案書による競争であり、価格競争は行わないのが原則です。価格の決定は選定者特定後に、予め発注者が開示した予算の範囲内で選定者と価格交渉して決定するのが一般的のようです。

 

技術者評価型

一定の条件を満たす提案者を求め、技術者の能力に重点を置いて評価することにより、技術的に最適な提案者を特定し、特定者との交渉合意により随意契約を締結する方式です。
技術者評価型には、公募型と指名型があり、更に公募型には標準型と簡易型があります。
公募型は、一定の条件を満たす応募者を広く一般から募集するものです。
指名型は、技術、経験、実績等について信用力のある参加者を予め指名するものです。
標準型は、参加企業の技術者の能力に重点を置いて評価して特定するものです。
簡易型は、技術提案書の提出を求める代わりに参加する各企業の責任技術者を1箇所に集め、その技術者が一定時間内に業務に関するレポートを作成し、それを技術提案書として評価し、選定者を特定するものです。

 

総合評価型

一定の条件を満たす提案者を求め、技術提案の内容と技術者の能力を総合的に評価することにより、技術的に最適な提案者を特定し、特定者との交渉合意により随意契約を締結する方式です。
総合評価型には、公募型と指名型があり、更に公募型には標準型と簡易型があります。
公募型は、一定の条件を満たす応募者を広く一般から募集するものです。
指名型は、技術、経験、実績等について信用力のある参加者を予め指名するものです。
標準型は、業務内容に対する提案企業の技術力や実施方針、業務に関する技術者の経験等の他に、具体的な取り組み方法の提示を求めるものです。
簡易型は、特定テーマに対する具体的な取り組み方法の提示を求めるものです。

 

プロポーザル方式のメリット・デメリット

メリット
⦁ 企業の創造性、技術力、経験等を適正に審査の上、当該業務の内容に最も適した者を選定することができること。
⦁ 具体的案を求めることはせず、あくまでも選定するに相応しい方針、組織(人)に焦点を当てて選ぶため、選定期間が少ないこと。
⦁ 発注者は、組織(人)を選ぶので、初期の段階から両者が協働して業務を進めることができること。
⦁ 当該業務の品質の確保、業務履行の確実性の問題、予期せぬ追加費用の発生等がすくなく、契約履行の確実性が非常に高いこと。

デメリット
⦁ 客観的な評価基準の設定、公正な審査及び選定プロセスの透明性の確保に十分留意する必要があること。
⦁ 事務負担が大きく、選定に十分な期間が必要になること。

参照:厚生労働省「第三者委託実施の手引き(平成23年3月改訂)」

 

4:コンペ方式(設計競技方式)

プロポーザル方式と同様な業務であって、明確な業務条件が提示できる場合に適用する方式のことです。
基本的には上下水道施設の設計者を選定する場合に適用する方式で、施設の管理運営への適用事例はありません。
コンペ方式には、公募型と指名型があります。
公募型は、一定の条件を満たす応募者を広く一般から募集するものです。
指名型は、技術、経験、実績等について信用力のある参加者を予め指名するものです。

 

コンペ方式のメリット・デメリット

メリット
⦁ 新しい技術やノウハウの提案が期待できることで、技術等の競争力が高まること。
⦁ 契約履行の確実性が非常に高いこと。また、提案が良ければ過去の経験・実績を問わず選定することが基本のため、新規参入がし易いこと。

デメリット
⦁ 客観的な評価基準の設定、公正な審査及び選定プロセスの透明性の確保に十分留意する必要があること。
⦁ 提案作成のために十分な期間が必要であること。
⦁ 提案作成のための応分の費用を発注者が用意しなければならない。
⦁ 発注者・提案企業双方とも、選択した案に拘束されること。

 

5:随意契約

競争入札によらずに、任意で決定した相手方と契約を締結する方式のことです。
随意契約する場合は、なるべく見積書を徴すること、またなるべく二以上の者から見積書を徴することとされています。
随意契約が認められるのは、「地方自治法施行令第167条の2第1項各号(1~9号)」に該当する場合で、業務委託については主に以下の条件が必要です。

⦁ 契約の性質又は目的が競争を許さない場合(地方自治法施行令第167条の2第1項第2号)
⦁ 競争に付することが不利と認められる場合(地方自治法施行令第167条の2第1項第6号)
⦁ 天変地異などの災害の防止、人命救助など特に緊急を要する事業がある場合(地方自治法施行令第167条の2第1項第5号)
⦁ 予定価格が少額の場合(地方自治法施行令第167条の2第1項第1号)
随意契約は、価格競争入札と比べて、早期の契約締結、手続の簡素化、小規模事業者でも参入可能等の利点がありますが、予算の効率化、公平性、透明性の面で問題があるといわれています。