コンセッションとは何か

コンセッション方式とは、高速道路、空港、上下水道などの料金徴収を伴う公共施設などについて、施設の所有権を発注者(公的機関)に残したまま、運営を特別目的会社として設立される民間事業者(以下、SPC)が行うスキームを指します。SPCは、公共施設利用者などからの利用料金を直接受け取り、運営に係る費用を回収するいわゆる「独立採算型」で事業を行う事になります。
「独立採算型」事業では、SPCが収入と費用に対して責任を持ち、ある程度自由に経営を行うことができます。例えば、利用者の数を増やすことによる収入の増加や、逆に経営の効率化による運営費用の削減といった創意工夫をすることで、事業の利益率を向上させることが可能です。

それでは、いわゆるコンセッション方式のスキームについて下記の図を使ってさらに説明していきましょう。

コンセッションの事業スキーム

1.発注者(地方自治体)と国との関係

改正水道法案では、地方公共団体がコンセッション事業を行う場合、事前に国に公共施設等運営権事業に係る許可を申請し、国の許可を得た上で実施することになります。

2.発注者(地方自治体)とSPCとの関係

コンセッション方式を事業に適用した場合、まず発注者とSPCがコンセッション契約を締結します。コンセッション契約では、両者間で事業期間、SPCに委託する事業範囲、SPCが公的機関に対して支払うコンセッションフィー(運営権対価)の金額、利用料金の設定に関する制限(上限金額など)などについて取り決めます。

委託に出す公共施設の種類にもよりますが、コンセッション方式では、事業期間は通常20年から30年程度が多いようです。また、コンセッションフィー(運営権対価)の金額の決定方法については、事業期間内に当該事業から見込まれる料金収入から運営費用を控除した金額の現在価値相当とすることが一般的です。コンセッション方式が適用される事業は公共施設となりますので、SPCの選定は入札で行われることになります。

3. 出資者とSPCとの関係

SPCに対して出資する株主である出資者との関係について解説します。一つ上の項目において、発注者とSPCがコンセッション契約を締結すると記載しましたが、SPCは、事業主体である株主が発注者とコンセッション契約を締結し、事業を運営していくことだけを目的として設立している特別目的会社です。このような観点において、出資者こそがコンセッション事業の民間側の事業主体である、といえます。

出資者は、運転資金やコンセッションフィー(運営権対価)の支払いに必要な資金を出資金という形で、SPCに対して資金提供し、事業開始後、毎年得られる料金収入の中から配当を受け取ります。出資者が複数いる場合には、投資家間で株主間協定を締結し、会社運営のルールを定めることになります。

4. 金融機関とSPCとの関係

SPCは、運転資金やコンセッションフィー(運営権対価)に株主からの出資金を充てますが、必要な初期費用は巨額になることが多いため、全てを出資金で賄うことはできません。そのため、SPCは金融機関と融資契約を結び、融資を受けることになります。

コンセッション方式のような独立採算型の事業については、当該事業の料金収入のみを担保に融資を行うプロジェクト・ファイナンスという形式が一般的です。プロジェクト・ファイナンスでは、料金収入が減り、融資をスケジュール通りに返済をすることが出来なった場合でも、株主に対して責任が遡及されることはありません(一方、事業がうまく行かなかった場合には、出資者に代わって金融機関が事業を継承します)。

5. 利用者(住民・企業)とSPCとの関係

SPCは、サービスの受益者(利用者)にサービスを提供し、提供したサービスの対価として料金を受け取ります。水道事業の場合は地方自治体ごとに給水条例が制定されており、水道事業者と住民が給水契約を締結しています。

コンセッション方式を適用した場合、水道法改正案では受益者との給水契約は現状(地方自治体)のままですが、この給水条例を改正し、料金はSPCが収受することが記載されることが見込まれています。

6. 外注先(運営会社、運転・維持管理会社、設計・建設会社)とSPCとの関係

SPCは、事業運営にあたって必要な業務を適宜外注することが見込まれます。出資者が当該事業に精通した事業会社である場合には、従業員をSPCに対して出向させることで、様々な業務を内製化することができるでしょう。しかし、ファンドといった金融機関が出資者である場合には、主要な業務は外注することになると思われます。

水道事業の場合は、SPCの業務範囲に、水道施設(水道管含む)の運転・維持管理や料金徴収業務のみならず、水道施設の大規模改修や管路の更新等資本的支出に係る業務まで含むことが可能で、外注内容は多岐に渡ることが予想されます。

次:コンセッション方式のメリット

コンセッション方式の利点について公的機関・民間事業者それぞれの視点から説明します