コンセッション方式以外の代表的な官民連携手法

これまで水道事業においても、包括的民間委託、DBO(Design,Build,Operation)型業務委託、PFI事業等、過去に多くの官民連携手法が導入されてきました。コンセッション方式についてより理解するためにも、これら従来の方式についてそれぞれの特徴を簡潔にまとめます。

個別業務委託

「個別業務委託」とは、地方自治体が主体的に運営する水道業務において、定形的な業務(検針業務など)、民間事業者の専門知識や技能を要する業務(電装関係の保守業務など)、付随的な業務(草刈りなど)の一部を民間事業者に外注することを指します。
個別業務委託は、水道事業者である地方自治体の管理下で業務の一部を委託するものであるため、水道法上の責任は全て地方自治体が負うことになります。また、契約年数も単年度が大半で1年ごとに更新していくことが一般的です。

包括的民間委託

「包括的民間委託」は、性能発注の考え方に基づき、水道業務を包括的かつ複数年にわたって業務委託する形式を指します。具体的な業務として、浄水場の運転管理・巡回・保守点検・修繕や料金徴収業務などが挙げられます。契約期間は3年から5年が一般的です。最近では、第三者委託制度と抱き合せて発注されることが多くなっています。

DBO型業務委託

DBOは「設計(Design),建設(Build)、運営(Operate)」を略した名称です。DBO型業務委託では、浄水場などの施設の一部新設又は大改修する際に、当該浄水場の設計、建設、運転管理、修繕等の業務を一括でパッケージにし、長期間にわたって民間事業者(単独又は複数)に委託する形式を指します。設計・建設・運転管理とそれぞれの段階で個別に入札を行う必要がないことから、行政コストも削減することができます。また、実際に設計段階から建設・運転管理の段階までを踏まえた最適な提案がされることが期待でき、トータルコストが下がる可能性もあります。契約期間は、10年から30年と長期にわたることが一般的です。

従来のPFI事業

「PFI事業」は、浄水場などの公共施設を新設する際に、設計・建設・維持管理・修繕等の業務について、民間事業者の資金とノウハウを活用して包括的に委託する形式を指します。DBO型業務委託と同様に、契約期間は10年から30年と長期にわたることが一般的です。

PFIの事業形態には、「サービス購入型」と「独立採算型」、その中間である「混合(ジョイントベンチャー)型」と3種類あります。厳密には、コンセッション方式もPFI事業の一つに含まれる概念ですが、ここでは、従来のPFI事業の3類型について解説します。

  • サービス購入型・・・発注者が事業期間にわたって、民間事業者に対してサービス対価を支払う方法。民間事業者は自ら調達した資金(銀行からの融資など)で施設を新設し、その後長期間にわたって管理し、発注者である公的機関から事業期間にわたって定額の業務委託料を受け取る。発注者は、施設の建設費用を一度に拠出することなく、事業期間にわたって割賦払いし平準化することが可能となる。
  • 独立採算型・・・民間事業者が利用料金を直接収受し、利用料金収入のみで費用と利益を回収する方法。従来の独立採算型では、建設費用などまとまった資金を工面できなかったため、既存の公民館やスポーツセンターの運営等、大掛かりな投資を伴わないものが多い。
  • ジョイント・ベンチャー型・・・基本的には独立採算型であるものの、公的支援制度を活用するなどして一部施設を整備する方法。

なお、上記の3類型のうち日本の水道事業に適用されたこれまでの例では、ほとんどが「サービス購入型」となっています。

コンセッション方式の特徴

コンセッション方式は、これら他の官民連携手法とは、何が異なるのでしょうか。
最も大きく異なる点は、コンセッション方式とそれ以外の手法では「事業の経営主体」が異なる点にあります。コンセッション方式では、民間事業者が経営主体となるのに対し、それ以外の方式では公的機関(水道事業であれば、水道事業者)が経営主体となります。経営主体となることは、当該事業に対する最終的な経営責任を持ち、重要な方針、計画や施策の決定権を持つことを意味しますので、コンセッション方式においては、当該事業における民間事業者の責任と経営の自由度が大きく増すことになります。

資料:水道事業における官民連携手法の種類

水道事業における官民連携手法の種類について、詳しくまとめたPDF資料をダウンロードすることができます。

次:政府によるガイドラインの論点

2013年6月6日に内閣府PFI推進室より発表された「公共施設等運営権および公共施設等運営事業に関するガイドライン」の論点を解説します。