2011年にPFI法(Private Finance Initiative:民間資金活用による公共施設などの整備に関する法律)が改正され、インフラの運営を民間に開放する制度が創設されました(公共施設等運営権制度(以下、コンセッション制度)の創設)。その後、政府によりコンセッション事業の推進が成長戦略の中で位置付けられ、優先的に導入を検討する分野として、空港、有料道路、上下水道が設定されました。今般の水道法改正は、コンセッション制度に関連するものだけではありませんが、この大きな流れの一環と言えます。

コンセッション制度は、料金徴収を行う公共施設について自治体(管理者)の権限を一部切り出し、運営権として民間事業者に付与することで、既存の公共施設の価値向上や効率的な運営を図ろうとするものです。但し、運営権を付与された民間事業者が施設を所有することは認められておらず、管理・運営を委ねられた施設を統廃合する等、施設の構成を大きく変更することも出来ないとされております。

一方、厚生労働省からは、水道事業にコンセッション方式を導入する場合、民間事業者は水道法の認可を取得するべき、つまり、水道法に定める水道事業者そのものになるべきとの見解が出されておりました。この為、水道においてコンセッションを導入する場合、自治体は水道法の水道事業者としての権限も民間事業者に移譲する(正確には自治体が厚労省に認可の廃止を届け出て、民間事業者が厚労省から新たに認可を受ける)、所謂、完全民営化の選択をせざるを得ないと解釈される状況にありました。

ここで管理者の権限の一部を民間事業者に付与しようとするコンセッション制度と民間事業者に管理者(水道事業者)自身になるよう求める厚労省の見解との間に様々な懸念事項が出てきました。

例えば、水道事業者は無期限のライセンスである一方、コンセッション事業は契約に基づく有限の事業・権利であり、契約が終了した場合はどうなるのか。大地震により被災した施設の復旧には国庫補助が充当されますが、現在の水道法ではこの交付先が自治体に限定されております。厚生労働省の見解に則って、コンセッション事業の民間事業者が水道事業者になった場合、震災復旧の国庫補助が民間事業者に適用されないのではないか。このような懸念が指摘され始めました。

今般の水道法改正は、これらの課題に対応すべく検討が進められているようです。