㈱ジャパンウォーターの西原です。

明けましておめでとうございます。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

さて昨年19日に開催された大阪市戦略会議において、公共施設等運営権制度活用のための詳細な実施プランが発表され、実施方針案及び要求水準書案が提示されました。

本件は公共施設等運営権制度を活用し、市が資産を保有する上下分離方式の民営化により経営の効率化を目指す方針であり、昨年4月に基本方針案が提示されております。

基本方針案では平成27年度を目途に、市が100%出資する運営会社に料金の徴収から維持管理、施設更新まで水道事業の業務全般を引き継ぐ予定でしたが、実施方針案では平成28年度に後ろ倒しとなっております。

大阪市実施プラン想定スケジュール

 

今回の実施方針案では基本方針案から主に、水道資産区分と運営権対価の設定・減価償却費の考え方、市と運営会社のリスク分担、運営会社へのモニタリング、既職員への対応方針の記載が追記されました。

運営会社は設立当初は市100%出資としておりますが、状況に鑑み、3~5年を目途に株式の一部を民間企業に売却する方針です(市が主要株主である事は変わらず)。
一方で運営会社の子会社で海外等の新規事業展開を担う会社には民間企業から50%超の出資を募るとの事です。

 

1. 水道資産区分と運営権対価

水道資産の区分としては、浄配水場や管網、水道メーター等の基幹施設及び、庁舎や研修施設等は市で引き続き資産として保有し、運営権を設定、他方、業務用車両や事務管理システム、水質検査用の工器具類等の固定資産及び貯蔵品などの流動資産は市から運営会社に現物出資という形で譲渡します。

資産内訳の基本方針

 

運営会社は市が現物出資した資産相当の株式を市に発行します。また運営会社は運営権対価(水道料金から将来的に得られる収益の対価)と市が保有する既存施設の減価償却費相当額を毎年市に支払うとしています。

基本方針では、市が抱えている企業債残高及び利息(企業債2,000億円、利息300億円)を全て、運営権対価等で賄う事としておりましたが、実施方針では、運営会社が減価償却費相当分(約3,000億円)+運営権対価(約1,000~1,500億円)を支払い、市はそれを既存企業債の償還と市側の運営コスト(モニタリング費用、資産保有上の支出等)に充てる事としています。

各関係先の想定キャッシュフロー

また今後の施設更新については運営会社が実施し、運営会社は同施設を法定耐用年数で減価償却する事になります(但し、市が資産を保有)。
事業期間は30年なので、契約終了時に一部資産についてはまだ減価償却が残る事となりますが、その減価償却額は一旦市が運営会社に支払う事となります(約3,000億円)。

水道施設の減価償却の考え方

 

2. 市と運営会社のリスク分担

大阪市では運営会社が水道事業認可を取得する事となっており、通常の事業運営に係るリスクは全般的に運営会社が負う事になっています。
但し、災害等の不可抗力により国庫補助の対象となる場合には市が主たるリスクを負い、財源を確保する様、努めます。
その他水源による長期的な水質変動・渇水や急激な物価変動に係るリスクについても市の責務となります。


リスク分担の考え方

 

3. 運営会社のモニタリング手法

今回の要求水準ではコンプライアンスの遵守、CSR等の事業全般の事項及び、水質の保持・安全管理等の維持管理事項に加えて、施設耐震化・更新のペースアップ、浄水場施設のダウンサイジング等の設備投資についても記載が入っております。
この要求水準を達成し業務を適正に履行しているかを確認・評価するため、運営会社はセルフモニタリングを実施し、市は水道有識者機関から意見を求めながら、定期的にモニタリングを実施する事としております。
またその他に毎年の経営モニタリング、5年毎の料金レビュー、10年毎の総合評価が予定されています。

モニタリングの考え方

料金については、まず現行の水道料金を上限として、事業開始時に運営会社が設定し、それを5年毎にレビューし、改定を実施します。
水道料金の上限額を改訂する場合、運営会社は市との協議、市会へ議案上程を行う等、必要な手続きを進め、国への認可申請も運営会社が実施します。
運営会社は料金改定案が市会で可決されず、その後の契約変更も含めた市との協議でも合意できなかった場合、市側事由による契約の解除を求める事ができます。
他方で、市は運営会社が要求水準の未達を是正しない場合等に契約解除する事が出来、運営会社は損害賠償と契約上で定める違反金を市に支払う事になります。

 

4. 既水道局職員への対応方針

現在の水道局職員は原則、運営会社へ転籍し、運営会社の正社員となります(転籍時に退職金が市から支払われる)。
運営会社の給与体系や福利厚生はについても今回新たに詳細な記載が加わっています。
運営会社は一定期間、転籍社員の現給与を保証する事となっておりますが、その後、組織の効率化を目指し、人員の削減を実施します(1,608人→1,000人以下)
削減手法案としては、市長部局への段階的な転出や国内外での新規ビジネスによる職域の拡大が挙げられています。


市が目指す正社員数

 

出典

大阪市HP